BLOG

ブログ

2026.07.09生成AI・データ活用
16分で読めます

物流業務にAIを導入・活用した企業事例10選。AIの導入が必要とされる理由も解説

物流業務にAIを導入・活用した企業事例10選。AIの導入が必要とされる理由も解説

「物流現場の人手不足が深刻化している」「配送ルートの最適化や在庫管理を効率化したいが、どの業務からAIを活用すべきか分からない」と悩んでいる企業は少なくありません。

物流業務は、倉庫管理、配送管理など多くの工程が連動して成り立っています。そのため、一部の業務だけを改善しても、全体最適につながりにくいケースがあります。

本記事では、

  • AIの導入が必要とされる理由
  • 物流現場でどのように活用できるのか
  • 物流業務にAIを導入・活用した企業事例10選

をわかりやすく解説します。自社の物流課題に対して、AI活用の具体的なイメージを持ちたい方は、ぜひ参考にしてください。

物流AIの活用を検討しているものの、「どの業務からAI化すべきかわからない」「PoCで終わらず、実運用までつなげたい」と感じている場合は、Athena Technologiesにご相談ください。
Athena Technologiesでは、LLM・Physical AI・画像認識・AI-OCRなどの技術領域に対応し、課題定義から要件定義、実装、本番運用、改善サイクルまで一気通貫で支援。
エンタープライズ企業に求められる権限・監査・セキュリティ要件を踏まえたオーダーメイド型AI実装を提供しているため、物流業務の効率化や省人化を、自社の現場に合う形で進めたい企業に適しています。
⇨Athena Technologiesへのお問い合わせはこちら

物流領域におけるAI活用とは?

物流領域におけるAI活用とは、倉庫管理・配送計画・在庫管理・需要予測などの物流業務にAIを活用し、業務の効率化や精度向上を図る仕組みです。

現在は、

  • EC需要の拡大
  • 多頻度小口配送の増加
  • 人手不足の深刻化

により、人の判断だけで最適な物流体制を維持することは難しくなっています。

そこで物流AIを導入することで、配送実績、天候、交通状況、季節変動などの情報を分析し、より合理的な判断につなげられます。

物流業界にAI導入が必要とされる3つの要因

物流業界にAI導入が必要とされる要因を3つ解説します。

  • 限られたリソースで輸送力を確保する必要性
  • EC市場の拡大
  • 物流関連法の改正

限られたリソースで輸送力を確保する必要性

物流業界でAI導入が必要とされる理由は、限られた人員・車両・時間のなかで、輸送力を確保する必要性が高まっているためです。

国土交通省の資料では、当初2030年度に約34%のトラック輸送の需給ギャップが想定されていました。その後、官民の取り組みなどにより一部は改善したものの、再検証後も2030年度には平均で約7%、最大で約25%の輸送力不足が生じうるとされています。

出典:国土交通省「自動車輸送統計報年」をもとに弊社作成

このデータが示しているのは、労働力そのものの不足ではなく、営業用トラックにおける輸送需要と輸送供給のギャップです。

ただし、物流現場ではドライバー、車両、稼働時間などの制約が重なっており、必要な輸送力を従来どおりの運用だけで確保することが難しくなりつつあります。

つまり、「人を増やせば解決する」という単純な問題ではありません。限られた人員・車両・時間をどう最適に使い、必要な輸送力を維持するかが問われています。

EC市場の拡大

EC市場の拡大も、物流業界でAI導入が必要とされる重要な要因です。

経済産業省の調査によると、2024年の日本国内BtoC-EC市場規模は26.1兆円となり、前年の24.8兆円から5.1%増加しています。また、BtoB-EC市場も514.4兆円、前年比10.6%増とされており、商取引の電子化はBtoC・BtoBの両面で進んでいます。

出典:経済産業省

ECが拡大すると、単純に荷物の量が増えるだけではありません。倉庫では多品種の商品を短時間で処理する必要があり、配送では交通状況や納品時間を踏まえたルート設計が求められます。こうした変動要素の多い業務を人の判断だけで最適化し続けるのは限界があります。

そこでAIを活用することで、注文データや在庫データ、配送実績、繁忙期の傾向などを分析し、需要予測や在庫配置、ピッキング導線、配送ルートを改善しやすくなります。

物流関連法の改正

物流関連法の改正により、物流業界ではAIを活用した業務の可視化や効率化が重要になっています。

その理由は、法改正によって、荷主企業や物流事業者に対して物流効率化への取り組みが求められるようになっているためです。

物流効率化法の理解促進ポータルサイトでは、すべての荷主・物流事業者等に対する努力義務や判断基準が示されています。また、一定規模以上の特定事業者には、2026年度から中長期計画の作成や定期報告などの義務が生じる見込みです。

具体的な取り組みとしては、以下のような内容が挙げられています。

  • 積載効率の向上
  • 荷待ち時間の短縮
  • 荷役等時間の短縮

これらを実現するには、荷主と物流事業者がデータを共有し、どこで待ち時間が発生しているのか、どの配送で積載効率が下がっているのかを可視化しながら改善する体制が必要です。

つまり、物流関連法の改正は、物流業界に対してデータにもとづく効率化を求める動きであり、その対応手段としてAI導入の必要性が高まっているのです。

物流業界にAIを導入することで実現できること

物流業界にAIを導入することでさまざまな業務の自動化や効率化を実現できます。ここでは主に3つの実現できることを解説します。

  • 配送ルートの最適化
  • 定型業務の自動化
  • 荷物の仕分けを自動化

配送ルートの最適化

物流業界にAIを導入すると、配送ルートの設計を「経験に頼った調整」から「複数データを踏まえた最適化」へ移行しやすくなります。

従来の配車・配送計画では、担当者が過去の経験や土地勘をもとにルートを組むケースも多く、急な渋滞、天候悪化、納品時間の変更まで細かく反映するには限界がありました。

AIを活用すれば、

  • 道路状況
  • 渋滞傾向
  • 気象データ
  • 車両の積載可能容量
  • ドライバーの拘束時間

などを組み合わせて分析できます。その結果、単に距離が短いルートではなく、遅延リスクや積載効率、現場負荷まで考慮した配送計画を立てやすくなります。

物流AIによるルート最適化は、燃料費や再配達の抑制だけでなく、ドライバー不足が進むなかで限られた輸送力を有効に使うための手段といえます。

定型業務の自動化

物流業務では配送や倉庫作業に注目が集まりがちですが、紙の伝票やFAX、手書きメモを人が確認し、システムへ転記する作業は一つひとつは単純でも、件数が増えるほど負担になります。

入力ミスや確認漏れが起きれば、出荷遅延や請求ミス、在庫差異につながるため、単なるバックオフィス業務として軽視できません。

そこで有効なのが、AI-OCRを活用した定型業務の自動化です。AI-OCRを導入すれば、紙や画像に含まれる文字情報を読み取り、受注・出荷・請求などのデータとして扱いやすくなります。

もちろん、すべてを完全に自動化できるわけではなく、誤読チェックや例外処理の設計は必要です。ただし、定型的な読み取り・転記作業をAIに任せることで、人は確認や判断が必要な業務に時間を使いやすくなります。

AI-OCRの概要や仕組みについては以下の記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

参照記事:AI-OCRとは?業務効率化につながる活用法と精度向上のポイントまで解説

荷物の仕分けを自動化

倉庫や物流センターでは、入荷した商品や出荷予定の荷物を配送先・サイズ・温度帯・商品カテゴリなどに応じて仕分ける作業が日々発生します。

扱う商品が少ない現場であれば人の判断でも対応できますが、EC物流のように多品種・小口・高頻度の出荷が増えると、目視確認や手作業だけでは処理スピードと精度を両立しにくくなります。

そこで、AIによる画像認識やディープラーニングを活用すると、

  • カメラで撮影した荷物の形状
  • ラベル
  • バーコード
  • 外観の特徴

などをもとに、仕分けや検品を自動化しやすくなります。物流分野では、画像認識技術を使って商品名・型番の認識、荷物サイズの計測、検品、安全管理などに応用されています。

つまりAIは、単に人の代わりに荷物を分けるだけでなく、仕分けミスの抑制、作業の標準化、処理能力の安定化にもつながります。

需要予測・在庫最適化|AIを活用した企業事例

まずは需要予測・在庫最適化にAIを活用した企業事例を3社紹介します。

  • ウォルマート|エージェント型AIによる能動的な在庫再分配
  • Amazon|予測出荷とサプライチェーン・ビジビリティ
  • 三菱商事|入出荷管理までできる倉庫利用サービス

ウォルマート|AIによる需要予測と在庫再配置

課題地域・季節ごとに需要が変動し、欠品や過剰在庫が起こりやすい
取り組みAIと予測分析を活用し、店舗・配送センター・フルフィルメント拠点への在庫配置を最適化
成果需要が高い地域へ商品を配置しやすくなり、販売機会損失や在庫の偏りを抑制

ウォルマートは、AIを活用した在庫管理システムが店舗、フルフィルメントセンター、配送センター、サプライヤーと連携し、各接点で取得したデータをAIモデルの学習に活用しています。

さらに、在庫の数量や流すタイミング、どの地域へ配分するかを判断する際にもAIが使われており、郵便番号単位の需要差まで踏まえて地域別の在庫配置を最適化している点が特徴です。

出典:Walmart Global Tech

たとえば、寒冷地域には暖かい衣料品、温暖な地域にはプール用品を確保するといったように、地域ごとの購買傾向や季節性を反映した在庫判断が可能に。

また、ある商品が東海岸では伸び悩んでいる一方で、中西部では売れている場合、在庫を移動・再配置する判断にもつなげられます。需要の変化を早めに捉え、在庫を売れる場所へ動かすためのサプライチェーン最適化といえます。

Amazon|予測出荷とサプライチェーン・ビジビリティ

課題膨大な商品をどの拠点に置くかが、配送スピードとコストに直結する
取り組みSCOTの需要予測モデル・購買システム・配置システムで、仕入れ量と在庫配置を一体最適化
成果需要に近い拠点へ在庫を置きやすくなり、迅速な配送と在庫運用の効率化を実現

Amazonは、需要予測を単独の業務として扱うのではなく、調達量の判断、在庫配置、配送スピードの維持まで含めて最適化している点が特徴です。

AmazonのSupply Chain Optimization Technologies、通称SCOTが開発した数理モデルは、Amazon Storeで注文が発生するたびに、商品在庫をどこに配置すれば最も適切に注文を処理できるかを裏側で支えています。

出典:Amazon

この事例で重要なのは、Amazonが「在庫を多く持つ」ことで対応しているのではなく、需要が発生しそうな地域に近い場所へ在庫を置くことで、配送スピードとコストの両立を図っている点です。

物流では、取り扱い商品数、配送エリア、配送スピードの要求が非常に大きいため、需要予測の精度だけでなく、在庫をどの拠点に置くかが顧客体験に直結します。

アスクル|AI需要予測による物流センター間の在庫移動最適化

課題物流センターと補充倉庫間の商品移動計画が属人的で、作業負荷が大きい
取り組みAI需要予測モデルで「いつ・どこからどこへ・何を・いくつ運ぶか」を自動提示
成果需要予測精度の向上に加え、横持ち指示作成や入出荷・フォークリフト作業の工数削減を実現

アスクルは、物流センターと補充倉庫の間で行う「商品横持ち計画」にAI需要予測モデルを活用しています。商品横持ちとは、物流センターと近隣の補充倉庫の間で在庫を移動させる業務のことで、欠品を防ぐためには「どの商品を、いつ、どの拠点へ、どれだけ動かすか」を正確に判断する必要があります。

従来は、物流センターや補充倉庫の担当者が経験や知見をもとに手作業で計画を立てていましたが、取り扱い商品や出荷量が増えるほど、判断の負荷が大きくなりやすい業務でした。

そこでアスクルは、AI需要予測モデルを導入し、物流センターと補充倉庫間の商品移動指示に活用しました。

出典:ASKUL

これにより、需要予測の精度向上だけでなく、商品横持ち指示作成工数の約75%削減、入出荷作業の約30%削減、フォークリフト作業の約15%削減といった効果を実現しています。

省人化・自動化|AI活用した企業事例

次にAIを活用して省人化・自動化を実現した企業事例を3社紹介します。

  • 坂塲商店|荷下ろしロボット導入で複数品種ケースの荷下ろし作業を自動化
  • ニトリ|ピッキングロボットによる4.2倍の生産性向上
  • JD.com|完全自動化倉庫を運営

坂塲商店|荷下ろしロボット導入で複数品種ケースの荷下ろし作業を自動化

課題毎日大量のケースを手作業で荷下ろししており、作業負荷が大きかった
取り組みMujinRobotデパレタイザーを導入し、不規則に積まれた複数品種ケースの荷下ろしを自動化
成果混載パレットでも自律的に荷下ろしでき、平均400〜450ケース/時の安定処理を実現

坂塲商店は、複数種類のケースが不規則に積まれたパレットの荷下ろし作業を自動化するため、MujinRobotのデパレタイザーを導入しています。

同社では毎日1万ケースの商品を、パレット上から仕分け機につながるコンベヤへ投入する作業をすべて手作業で行っていました。高さのある積荷や重い商品もあり、作業者の身体的負担が大きかったことから、労働環境の改善と省人化が課題になっていました。

この事例で重要なのは、不規則に積まれたケースを認識し、自律的に荷下ろしできる点です。独自アルゴリズムにより、さまざまなサイズ・色・柄の段ボール箱を高精度に検出できる点も特徴です。

出典:国土交通省

導入後は、混載パレットでも自律的に荷下ろしを行い、1時間あたり平均400〜450ケースを安定的に処理できています。

ニトリ|ピッキングロボットによる4.2倍の生産性向上

課題ピッキング作業でスタッフの歩行距離が長く、作業効率に課題があった
取り組み自動搬送ロボット「バトラー」で商品棚を作業者のもとへ運ぶ仕組みを導入
成果作業者の移動負担を減らし、ピッキング効率の大幅向上につなげた

ニトリホールディングスの物流子会社であるホームロジスティクスは、物流倉庫のピッキング業務を効率化するため、自動搬送ロボット「バトラー」を導入しています。

従来のピッキングでは、作業スタッフが倉庫内を歩き回り、注文内容に応じて棚から商品を探していました。

バトラーは、商品棚の下に潜り込んでラックごと持ち上げ、作業スタッフのいるステーションまで運ぶ仕組みです。これにより、作業者は倉庫内を移動せず、ステーションで商品のピッキングに集中できます。

出典:ロボスタ

ホームロジスティクスが大阪の物流倉庫に導入した結果、人による作業と比較してピッキング効率が4.2倍に向上を実現しています。

JD.com|完全自動化倉庫を運営

課題複数チャネルの注文処理により、倉庫運営とサプライチェーン管理が複雑化していた
取り組みCTUロボットや自動コンベヤ、画像スキャナーを使い、入庫・仕分け・保管を自動化
成果保管ユニット数を1万から3万5,000へ増やし、業務効率を300%向上させた

JD.comの物流部門であるJD Logisticsは、米国カリフォルニア州で自動化された倉庫・配送センターを展開しています。

JD Logistics United Statesはカリフォルニアで3つ目となる「self-operating」倉庫・配送センターを開設。BtoB・BtoC双方の注文に対応するオムニチャネル・フルフィルメントサービスを提供しています。

EC事業者が複数の販売チャネルを使うようになり、BtoBとBtoCの注文を複数倉庫で処理する必要が生じ、保管コストやサプライチェーン管理が複雑化しているという課題があります。

同社の倉庫では、CTUと呼ばれるコンテナ搬送ユニットシステムを活用。荷物は倉庫に到着後、自動コンベヤに載せられ、スキャン・仕分け・保管の工程を高速な自律ロボットが担います。このCTUシステムにより保管ユニット数が1万から3万5,000に増え、ロボットによって業務効率が300%向上しています。

出典:Robotics 24/7

輸送・配車最適化|AIを活用した企業事例

3つ目は輸送・配車最適化においてAIを活用した企業事例を2つ紹介します。

  • UPS|ORIONシステムによる年間4億ドルのコスト削減
  • スーパーレックス|配車業務の標準化に成功

UPS|ORIONシステムによる年間4億ドルのコスト削減

課題大規模配送網では、わずかなルート非効率でも燃料費・走行距離・配送時間が大きな損失につながる
取り組みORIONでGPS、交通、天候、配送記録、荷物量などをもとに配送ルートを最適化
成果年間1億マイルの走行距離削減、1,000万ガロンの燃料削減、年間3億〜4億ドルのコスト削減

UPSは、配送ルート最適化の代表例として、ORIONを活用しています。ORIONは、各ドライバーの配送先、集荷予定、配送時間などを組み合わせ、効率的な配送順序や走行ルートを算出するシステムです。

この事例では、単に最短距離を選ぶのではなく、燃料消費、配送時間、渋滞リスク、右左折のしやすさ、ドライバーの作業効率まで含めてルートを組み立てている点です。

UPSは、1人のドライバーが1日あたり1マイル削減するだけでも、全体では大きなコスト削減につながる規模の配送網を持っています。成果では、ORIONにより年間1億マイルの走行距離削減、年間1,000万ガロンの燃料削減、年間3億〜4億ドルのコスト削減、CO2排出量10万トン削減を実現しています。

出典:UPS

スーパーレックス|配車業務の標準化に成功

課題配送店舗の増減に伴う固定ルート変更に時間がかかり、配車業務が担当者の土地勘や経験に依存していた
取り組みLYNA 自動配車クラウドを導入し、AIが複数条件をもとに何十万通りの配車計画をシミュレーション
成果手配車決定作業を丸二日から数時間へ短縮し、土地勘がなくても配車を組める標準化を実現

スーパーレックスは、配車計画作成用クラウドサービス「LYNA 自動配車クラウド」を導入し、配車業務の標準化と高速化を実現した企業事例です。

同社では配送店舗の増減にともなう固定ルート変更に丸二日かかっており、担当者の負担が大きいことが課題でした。また、配車業務は土地勘や経験が必要で、担当者が変わると引き継ぎが難しい点も問題になっていました。

導入した自動配車システムには、独自開発のAIアルゴリズムが搭載されています。資料では、AIが何十万通りもの配車計画を瞬時にシミュレーションし、コストや時間削減に優れた配送ルートを提案します。

出典:国土交通省

これにより、経験の浅いスタッフでもAIの支援を受けながら、より正確な配車計画を作成しやすくなりました。

サービス品質向上|AIを活用した企業事例

最後にサービス品質向上をAIで実現した企業事例を2つ紹介します。

  • ヤマト運輸|AIオペレータ・チャット対応による顧客接点の改善
  • NTTロジスコ|AI画像認識による「検品ミス・ゼロ」の追求

ヤマト運輸|AIオペレータ・チャット対応による顧客接点の改善

課題集荷依頼や再配達などの問い合わせ対応が集中し、顧客が必要な手続きを進めにくい場面があった
取り組みWeb・LINE・電話のAIオペレータなど、複数のデジタル接点で手続きできる環境を整備
成果顧客が集荷依頼や再配達依頼を進めやすくなり、問い合わせ対応の利便性向上につながった

ヤマト運輸は、顧客対応の利便性を高めるために、LINEを活用した通知・再配達依頼・集荷依頼の仕組みや、電話でのAIオペレータ対応を導入しています。

ユーザーがメニュー画面から「再配達依頼」「集荷依頼」を選択できる仕組みを提供。これにより、荷物の受け取りや集荷に関する手続きがスマートフォン上で完結しやすくなり、顧客の利便性向上と再配達削減、ドライバー負担の軽減につながったとされています。

また、AIオペレータが電話音声を認識し、自動音声で自然な対話応答を行うサービスです。対象は集荷依頼などの定型的な問い合わせで、地域や時間帯によって電話がつながりにくい状況を緩和する目的があります。

出典:ヤマト運輸

NTTロジスコ|AI画像認識による「検品ミス・ゼロ」の追求

課題電源アダプターの型番確認を目視で行っており、検品品質が熟練作業者に依存していた
取り組みAI画像認識・AI-OCRで機器本体と電源アダプターの情報を読み取り、自動照合する仕組みを導入
成果1人あたりの生産性60%向上、検品ミス0%を実現し、検品品質を安定化させた

NTTロジスコは、レンタル通信機器のリファビッシュ業務において、AI画像認識技術を用いた自動検品システムを導入しています。

同社では、撤去・回収した通信機器を再利用するため、クリーニングや動作試験、再生品のセット化を行っています。

従来、クリーニング済みの機器本体と電源アダプターを組み合わせる作業では、電源アダプターにバーコードなどの識別子がないため、作業者が印字された文字を目視で確認し、物品コードを特定してWMSへ入力する必要がありました。

そこで同社は、機器本体の製造番号と電源アダプターの物品コードをカメラで撮影し、AI-OCRを含む画像認識処理でテキスト化し、マスタデータと照合する仕組みを導入しました。

照合結果が一致すればWMSへデータを自動送信し、検品が完了します。この導入により1人あたりの処理台数の生産性が60%向上し、検品ミス0%を実現しています。

出典:NTTロジスコ

物流業界に限らずAIを活用した事例については以下の記事で詳しく解説していますので、あわせてチェックしてみてください。

参照記事:AIの活用事例35選。自社の業務に活かす考え方と使用時の注意点

物流業界のAI導入における注意点

物流業界のAI導入における注意点を3つ紹介します。

  • 物流ネットワーク全体で効果を見極める
  • AIの精度以前にデータを統合できる体制があるかを確認する
  • ダイナミックプライシングは現場運用まで落とし込んで設計する

物流ネットワーク全体で効果を見極める

物流業界でAIを導入する際は、倉庫、配送、在庫管理、配車などの一部業務だけを見て効果を判断しないことが重要です。たとえば、倉庫内のピッキングを自動化しても、出荷後の配車が詰まっていればリードタイムは短くなりません。

反対に、配送ルートだけを最適化しても、倉庫側の出荷準備が遅れれば、ドライバーの待機時間は減らせません。物流は複数工程が連動するネットワーク型の業務であるため、局所最適だけでは全体効率が上がらないケースがあります。

物流機能を維持するには物流DXによる自動化・機械化・省人化だけでなく、個社や業種を超えた共同化、そしてその前提となる物流標準化が必要だとされています。つまり、AI導入では「この作業を何分短縮できるか」だけでなく、荷待ち時間や返品対応などまで含めて、どこにボトルネックがあるのかを先に見極める必要があります。

AIの精度以前にデータを統合できる体制があるかを確認する

AIは、導入すればすぐに高精度な予測や最適化ができるわけではありません。需要予測や配車最適化、在庫補充を機能させるには、受注データ、在庫データなどを横断的に扱える状態が必要です。

ところが実際の現場では、

  • 倉庫管理システム
  • 販売管理システム
  • 配送管理システム
  • 紙帳票

などにデータが分断されていることも少なくありません。この状態でAIツールだけを入れても、判断材料が不足し、現場で使える予測にはなりにくいです。

AI導入前には、必要なデータがどこにあり、誰が管理し、どの粒度で更新されているのかを確認するべきです。精度の高いAIモデルを選ぶ前に、まずはデータの欠損、表記ゆれ、更新頻度、部門間連携の仕組みを整えることが、物流AIを実務で機能させる条件になります。

ダイナミックプライシングは現場運用まで落とし込んで設計する

物流におけるダイナミックプライシングは、需要と供給の変化に応じて料金や配送枠、リソース配分を柔軟に調整する考え方です。

たとえば、配送需要が集中する時間帯や地域では料金を高めに設定し、余裕のある時間帯には安くすることで、荷量を分散させたり、車両やドライバーの稼働を平準化したりできます。

ただし、ダイナミックプライシングは、需要予測の精度だけを高めても十分ではありません。予測結果をもとに、

  • 誰が料金を変更するのか
  • 営業担当が顧客へどう説明するのか
  • 既存契約との整合性をどう取るのか
  • 現場の配車や倉庫作業にどう反映するのか

まで設計する必要があります。配送枠ごとの価格調整についても、リアルタイムの物流キャパシティ、配送原価、需要密度を踏まえて設計する考え方がありますが、運用が不透明だと顧客の不信感につながる可能性もあります。

まとめ

人手不足やEC市場の拡大、物流関連法の改正により、物流現場では限られた人員・車両・倉庫スペースをいかに効率よく活用するかが経営課題になっています。

そのため物流業務でAIを導入する際は、まず自社の物流ネットワーク全体を整理し、どこにボトルネックがあるのか、どのデータを活用できるのか、現場運用にどう落とし込むのかを明確にすることが重要です。

物流AIの導入を検討しているものの、「自社のどの業務にAIを活用すべきかわからない」「PoCで終わらせず、現場で使える仕組みまで落とし込みたい」と感じている場合は、Athena Technologiesへご相談ください。

Athena Technologiesでは、LLM・Physical AI・画像認識・AI-OCRなどの技術領域に対応し、企業ごとの業務課題に合わせたオーダーメイド型AI実装を支援しています。

課題定義から要件定義、実装、本番運用、改善サイクルまで一気通貫で支援しているため、物流業務の省人化、需要予測、検品自動化、データ活用基盤の整備などを、自社の現場に合った形で進めやすい点が特徴です。以下のリンクからお気軽にご相談ください。

⇨Athena Technologiesへのお問い合わせはこちら

Athenaにご興味を持ってくださった方へ