生成AIは、資料作成や問い合わせ対応、アイデア出しなど、さまざまな業務で活用されるようになり、今や身近な存在になりつつあります。
一方で、「どこまで使っていいのか」「法律的に問題はないのか」といった不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
生成AIは、従来のシステムのように動きを完全に予測することができないため、個人情報の扱い方や、誤った情報の回答などが課題として浮かび上がっています。
こうした状況を受けて、日本だけでなく海外でも、生成AIに関する法規制やガイドラインの整備が進められています。
本記事では、日本と海外の生成AI法規制の動向を整理したうえで、企業や組織が生成AIを安全に、安心して活用するためのポイントをわかりやすく解説していきます。
💡法律やガイドラインに沿った生成AI活用を考えている企業様へ
Athena Firewall は、生成AIへの入力や回答内容を見守りながら、情報が外に出てしまうことや、問題のある回答を防ぐためのガードレール機能を持つツールです。 日本語に強く、処理の速さが特徴で、仕事の流れを止めずに安心して生成AIを使うことができます。 生成AIの不安を減らし、現場で無理なく活用できる環境を整えたい方は、ぜひ Athena Firewall のサービス内容を確認してみてください。
⇨Athena Firewallについて詳しくはこちら
日本では現在、生成AIだけを対象とした専用の法律はなく、ソフトローと呼ばれる方法でルールが整えられています。
ソフトローとは、罰則や罰金のある法律とは違い、ガイドラインなどを通じて、安全に使うための考え方や注意点を示すものです。
総務省や経済産業省は、生成AIを安全に使うためのガイドラインを公表し、企業が気をつけるべき点や、安全に利用するための基本的な考え方が分かりやすくまとめられています。
企業はこれらを参考にすることで、情報漏えいなどのリスクを防ぎながら、安心して生成AIを活用することができます。
ただし、生成AI専用の法律がないからといって、自由に使ってよいわけではありません。
個人情報保護法や著作権法などの既存の法律は、生成AIの利用にも適用されるため、企業は個人情報や権利に配慮しながら、責任を持って生成AIを利用することが大切です。
次の章では、AIに関する法律の動きとAI事業者ガイドラインについて、企業が知っておくべきポイントをわかりやすく説明します。
日本ではこれまで、生成AIを含むAIの活用について、ガイドラインを中心に、ルールづくりが進められてきました。
しかし、AIがさまざまな場面で使われるようになるにつれて、リスクへの対応方法を、よりわかりやすく示す必要性も高まっており、「人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律(AI法)」の検討が進められています。
ここでは、AIに関する法律がなぜ必要なのかと、その法律がどのような内容なのかについて見ていきます。
生成AIは、仕事を効率よく進めたり、新しいサービスを生み出したりするなど、多くの可能性を持っており、日本ではAIの開発や活用はまだ発展の途中にあり、企業での活用もこれからさらに広がっていくことが期待されています。
しかし、AIに対して不安を感じている人も多く、今のルールだけで安心して使えるのか心配する声もあります。
そのため、AIを安心して使えるようにするための、新しいルールづくりの必要性が高まっており、AIの発展を進めながら、安全に使える環境を整えることが重要になっています。
AI法は、AIの研究や活用を進めるとともに、安全性や信頼性を高め、企業や社会が安心してAIを利用できるようにすることを目的としています。
AI法は、AIの研究や開発、活用を進めることで、私たちの生活をより便利にし、社会や経済の発展につなげることを目的としています。
同時に、AIが安全に使われ、人の権利や個人情報がきちんと守られることも大切にしています。
この法律は、AIの使い方を細かく制限するものではなく、国・事業者・利用者それぞれの役割を示している点が特徴です。
国は、AIを安心して使える環境を整えたり、ガイドラインを作ったり、問題が起きた場合の対応を検討したりします。
事業者には、AIを安全に開発・運用することや、個人情報や人の権利に配慮することが求められます。
また、国の取り組みに協力しながら、信頼できる形でAIを活用していくことが期待されています。
このようにAI法は、関係する人や組織が協力しながら、AIを安全に、そして安心して活用できる社会を目指すための基本的な考え方を示した法律です。
ここまでAI法の概要を見てきましたが、もっと詳しく知りたい人は、内閣府が公開しているAI法案の説明資料もぜひ見てみてください。
現在検討されているAI法によって、日本がAIを安全に安心して使えるようにする考え方を示していることを説明しましたが、法律だけでは現場でどう使えばよいかまでは示されていないため、事業者には、AIを安全に使うための分かりやすい目安が必要になります。
そこで重要になるのがAI事業者ガイドラインです。
このガイドラインは、事業者がAI活用の注意すべきポイントをまとめたもので、AIを適切に活用するための参考となるものです。
AI事業者ガイドラインは、AIの利用が急速に広がる中で、安心してAIを使えるようにするために作られました。
日本では2019年に人間中心のAI社会原則が示され、AIは人の役に立ち、社会にとって良い形で使われるべきであるとされています。
その後、AIはさまざまな場面で使われるようになり、特に生成AIの登場によって、文章や画像を自動で作れるなど、便利な使い方が広がりました。
一方で、著作権を侵害してしまう可能性や、誤った情報や偽の情報が広がるといった、新しい課題も生まれています。
こうした状況の中で、AIを安心して使い続けるためには、事業者ごとの判断だけに任せるのではなく、共通の考え方を示すことが重要になりました。
そこで国は、AIを安全で適切に活用するための考え方をまとめたものとして、事業者が注意すべき点を理解し、安心してAIを活用するための参考となるAI事業者ガイドラインを作りました。
AI事業者ガイドラインは、AIを開発・提供・利用する事業者が、安心してAIを活用するために、基本的な考え方や注意点をまとめたものです。
法律のように罰則があるものではありませんが、AIを安全で適切に使うための共通の目安として位置づけられています。
このガイドラインでは、AIの仕組みやできること・できないことを正しく理解することや、あらかじめリスクを考えたうえで開発や運用を行うことの重要性が示されています。
また、問題が発生した場合には、原因を確認し、見直しや改善を行うことや、特に生成AIについては、誤った情報の生成や、著作権や個人情報などへの配慮が重要であるとされています。
事業者には、こうしたリスクに注意しながら、信頼できる形でAIを活用していくことが求められています。
このガイドラインは、AIの活用を制限するためのものではなく、事業者が安心してAIを使い続けるための道しるべとなるものです。
ここまでAI事業者ガイドラインの概要を見てきましたが、もっと詳しく知りたい人は、総務省と経済産業省が作成したAI事業者向けのガイドライン資料も見てみてください。
また、ここで紹介したAI法およびAI事業者ガイドラインについていかに改めてまとめていますので、ご確認ください。
▪️日本における生成AI関連の法令
法令名 | 施行年 | 内容 | リンク |
|---|---|---|---|
人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律(AI法) | ※法案段階 | AIの開発や活用を進めながら、安全に使える環境を整えるための国や事業者などの役割も示した法律 | |
AI事業者ガイドライン | 2024年 | 事業者がAIを安全に利用するために、気をつけるポイントをまとめたガイドライン | https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/ai_shakai_jisso/pdf/20250328_1.pdf |
日本のAI事業者ガイドラインを通じて、AIを安全に使うための考え方や、リスクへの配慮について説明しましたが、海外でも、生成AIの活用が進む中で、特に個人情報の取り扱いに対する関心が高まっています。
また、AIに関するルールは、国や地域ごとにそれぞれ異なる方法で整備されています。
ここでは、主な国や地域の規制の考え方や、個人情報を含むデータの取り扱いに関する法律のポイントについて、わかりやすく説明します。
米国:各州独自の法規制
EU:Artificial Intelligence Act(AI法)
EU:GDPR(一般データ保護規則)
中国:生成AIサービス管理暫定弁法
韓国:人工知能(AI)の発展と信頼基盤の造成などに関する基本法
米国では、共通のAI専用の法律はまだ整備されておらず、州ごとに独自のルールが定められています。
これは、生成AIの利用が広がる中で、誤った情報の拡散や個人情報の取り扱いなどへの懸念が高まっていることが背景にあります。
たとえば、カリフォルニア州をはじめとするいくつかの州では、個人情報を守るための法律が整備されており、企業がAIを使って個人情報を利用する場合には、利用目的を説明することや、情報を適切に管理することが求められます。
連邦政府の方針も、政権によって変化しており、2023年には、AIを安全で信頼できる形で開発・利用することを重視する方針が示されましたが、2025年にはその方針が見直され、AIの開発や活用を進め、米国の技術力や競争力を高めることを重視する新たな方針が示されています。
このように米国では、全米共通の法律だけでなく、州ごとの法律や個人情報保護のルールが重要な役割を果たしています。
そのため、企業が生成AIを活用する際には、州ごとのルールを理解し、個人情報を適切に取り扱うことが求められます。
参考:FEDERAL RAGISTER「Safe, Secure, and Trustworthy Development and Use of Artificial Intelligence」
欧州連合(EU)では、AI全体を対象とした「Artificial Intelligence Act(AI法)」という法律が定められており、生成AIも含まれています。
この法律は、AIを安全で信頼できる形で利用するためのルールを定めたもので、AIのリスクの大きさに応じて、守るべき内容が分けられているのが特徴です。
AI法では、AIを提供する企業に対して、安全性に配慮した開発や運用を行うことや、利用者に対して分かりやすい説明を行うことなどが求められます。
特に生成AIのように幅広く利用されるAIについては、どのような仕組みで動いているのかや、利用にあたって注意すべき点などを、必要な範囲で利用者に示すことが重要とされています。
また、AIの利用において個人情報を扱う場合には、EUの個人情報保護に関する法律(GDPR)とあわせて対応する必要があります。
このようにEUでは、AI法によってAIの安全な利用に関するルールを定めるとともに、個人情報保護の法律とあわせて、生成AIを安全に活用できる環境を整えています。
GDPRは、EUで定められている個人情報を守るための法律で、世界の中でも特に厳しいルールの一つとされています。
これはガイドラインのような参考ルールではなく、法的な拘束力を持つ違反した場合には罰則・罰金などを伴うハードローです。
GDPRでは、個人情報をどのような目的で集め、どのように利用し、どのくらいの期間保存するのかを明確にすることが求められます。
また、個人情報を利用する際には、本人の同意を得るなど、法律で定められた正当な理由が必要になり、目的と異なる使い方や、必要以上の情報を集めることは認められていません。
たとえば、生成AIが個人情報をもとに分析や回答を行う場合には、その利用目的を明確にし、情報の取り扱いについて分かりやすく説明する必要があります。
GDPRは、EUの中にある企業だけでなく、EUに住む人を対象にサービスを提供する企業にも適用されるため、生成AIを提供・利用する企業は、EUの利用者の個人情報を適切に取り扱うことが重要です。
参考:個人情報保護委員会「EU(外国制度)GDPR(General Data Protection Regulation:一般データ保護規則)」
中国では、生成AIサービスを提供する企業を対象に、生成AIサービス管理暫定弁法というルールが定められています。
このルールでは、企業が生成AIを一般の利用者に提供する場合、法律に沿ったデータや適切なAIモデルを使用すること、また著作権などの権利を侵害しないことが求められています。
また、個人情報の取り扱いについても、個人情報保護法(PIPL)などの関連する法律を守ることが求められています。
中国では、サイバーセキュリティ法やデータセキュリティ法、個人情報保護法(PIPL)などの法律によって、個人情報の収集や利用、管理の方法が厳しく定められており、個人情報を海外に送る場合にも、一定の条件を満たす必要があります。
そのため、生成AIを提供する企業は、生成AIに関するルールだけでなく、個人情報を守るための法律にも従いながら、安全で適切にサービスを提供することが求められています。
参考:中央网络安全和信息化委员会办公室「生成式人工智能服务管理暂行办法」
韓国では、AI全体を対象とした「人工知能の発展と信頼基盤の造成等に関する基本法(AI基本法)」が、2026年1月に施行されました。
この法律は、AIの開発や活用を進めながら、安心して利用できる環境を整えることを目的とし、AIの発展を支えつつ、安全に使えるようにすることを重視している点が特徴です。
社会や人の生活に大きな影響を与える可能性があるAIについて、安全に使うための対策を行うことが求められており、生成AIを使って文章や画像などを提供する場合には、AIによって作られたものであることを利用者に分かるように示すことが必要と定められています。
個人情報については、AI基本法とは別に「個人情報保護法(PIPA)」という法律があり、AIを含むすべてのサービスに適用され、個人情報保護委員会(PIPC)という機関が、個人情報が適切に扱われているかを確認しています。
このように韓国では、AI基本法によってAIの安全な利用を進めるとともに、個人情報保護法によって個人情報を守る仕組みが整えられています。
参考:国立国会図書館デジタルコレクション「韓国における AI 基本法の制定」
ここまで、各国・地域の生成AIに関する法規制について見てきましたが、国や地域によって、法律やガイドラインの内容や考え方に違いがあります。
以下の表では、それぞれの法令やガイドラインについて、施行年や個人情報の取り扱い、罰則の有り無しなどを分かりやすくまとめています。
国・地域 | 法令名 | 施行年 | 個人情報の取り扱い | 罰則 |
|---|---|---|---|---|
日本 | 2025年 | 個人情報は「個人情報保護法」によって保護 | なし | |
米国 | 州ごとのAI関連法、個人情報保護法+大統領令 | 州法:州ごと/大統領令:2025年 | 個人情報は州ごとの個人情報保護法で管理 | 州ごと |
EU | 2024年8月 (段階的に適用) | 個人情報は主にGDPRによって保護 | あり | |
EU | 2018年5月 | 個人情報の利用には正当な理由(本人同意など)が必要 | あり | |
中国 | 2023年8月 | 個人情報は「個人情報保護法(PIPL)」などで管理 | あり | |
韓国 | 2026年1月 | 個人情報は「個人情報保護法(PIPA)」で保護 | あり |
このように、日本・米国・EU・中国・韓国など、各国・地域で生成AIに関する法規制やガイドラインの整備が進められています。
共通して重視されているのは、AIの安全性や透明性の確保とともに、個人情報を適切に保護することです。
一方で、日本のようにガイドラインを中心に自主的な対応を促す国もあれば、EUのように法的拘束力のある包括的な規制を導入している地域もあり、対応の方法には違いがあります。
生成AIを業務で活用する企業は、自社が提供するサービスの対象地域や利用するデータの性質に応じて、関連する法規制を理解し、適切な管理体制を整えることが重要です。
特に個人情報や機密情報を扱う場合には、法律やガイドラインに沿った運用を行い、リスクを抑えながら安全に活用していくことが求められます。
ここまで見てきたように、生成AIを取り巻く法規制は、日本だけでなく海外でも整備が進み特に、個人情報に関するルールは、生成AIを業務で利用するうえで無視できません。
ただし、法律やガイドラインの内容を、そのまま現場の運用に反映するのは簡単ではありません。
そこで重要になるのが「ガードレール機能」です。
これは、生成AIへの入力や出力の内容を確認し、個人情報や不適切な内容を検知・制御する仕組みのことです。

あらかじめルールに基づいてチェックを行うことで、情報漏えいや不適切な出力を防ぎ、安全な利用を支える役割を果たします。
こうした仕組みによって、法律やガイドラインに配慮した運用を、実際のシステム上で実現することができます。
Athena Firewall は、こうしたガードレール機能を備えたソリューションの一つです。
入力や出力に含まれる個人情報を自動で検知し、マスキングすることで、個人情報の取り扱いに配慮した生成AIの利用を支援します。
生成AIを安心して活用するためには、このようなガードレール機能が重要です。
ガードレールの必要性や仕組みについて詳しく知りたい方は、解説記事もぜひご覧ください。
参考:生成AIのガードレールとは?必要性から導入ポイント・対応ツールまで解説
法規制やガイドラインに対応するうえで、ガードレール機能が重要な役割を果たすことを見てきました。
ただし、実際に業務で生成AIを使うとなると、安全であることに加えて、使い勝手のよさも欠かせません。
処理に時間がかかったり、日本語の判定精度が低かったりすると、現場では使われなくなってしまいます。
Athena Firewall は、こうした課題を踏まえて設計された、低レイテンシかつ日本語に特化したガードレールのツールです。

生成AIへの入力や回答の内容をその場で確認しながら、仕事の流れを止めることなくスムーズに動作します。
待ち時間がほとんどないため、チャット対応や資料作成など、スピードが求められる場面でもストレスなく利用できます。
また、日本語に強い点も大きな特長であり、個人情報や社外に出してはいけない情報の検出、不適切な表現のチェックなどを、日本語の意味や使い方を踏まえて行えるため、海外製のツールでは難しい、日本特有の表現や言い回しにも対応しています。
さらに、Athena Firewall は、GDPRや日本のAI事業者ガイドラインといったルールに配慮した運用を支える機能を備えています。
個人情報を自動で隠したり、問題のある回答を制御したりすることで、ルールを守りながら生成AIを利用できる環境づくりをサポートします。
生成AIを試しに使うだけでなく、安心して使い続けるために、日本語に強く、スムーズに動作する Athena Firewall は、有力な選択肢の一つです。
これまで紹介したように、生成AIは個人情報の取り扱いや誤った回答、著作権への配慮など、利用するうえで注意すべき点もあり、日本だけでなく海外でも法規制やガイドラインの整備が進められています。
日本ではガイドラインを中心に安全な利用の考え方が示されており、EUや中国、韓国などでは法律によってより明確なルールが定められています。
企業が生成AIを活用する際には、こうした法規制の内容を理解し、個人情報や機密情報を適切に管理することが重要です。
また、法規制に対応しながら安全に生成AIを活用するためには、入力内容や回答を確認し、問題のある情報のやり取りを防ぐガードレール機能を活用することが有効です。
こうした仕組みを取り入れることで、リスクを抑えながら安心して生成AIを業務に活用できるようになります。
生成AIの利便性を最大限に活かしながら、安全に使い続けるためには、法規制の理解と適切な対策をあわせて進めていくことが大切です。
ブログ記事一覧へ戻る