Athena Technologies

CASE

実績紹介

クライアントストーリー2025.10.01

キッコーマン様:グローバル戦略をAIで加速。未知の“おいしさ”を探求する共同研究の裏側

キッコーマン様:グローバル戦略をAIで加速。未知の“おいしさ”を探求する共同研究の裏側

課題

  • インドなど新興市場で、しょうゆの食文化が浸透していない
  • 食材と調味料の相性を科学的に証明する手法が確立されていない
  • アンケートデータの評価基準が人により異なり、モデル学習の教師データとして品質が不安定

成果

  • 食材と調味料の最適なペアリングを予測するAIモデルの構築
  • データセグメント分析による新たな知見の発見
  • 半年間でデータ収集設計からモデル構築まで一貫して完了

会社概要

会社名:キッコーマン株式会社

本社所在地: 千葉県野田市野田250

事業概要: しょうゆ、食品、飲料、酒類などの製造・販売

企業サイト: https://www.kikkoman.co.jp/

お話をお伺いした方:今村美穂様・山田侑季様

プロジェクトの概要

キッコーマン株式会社と株式会社Athena Technologiesによる、食材と調味料の相性を予測するAI共同研究プロジェクト。インドなどの新興市場におけるしょうゆの普及を目指し、現地で日常的に食べられている食材としょうゆが合うことを科学的に示すことが目的です。

食材と調味料の膨大な組み合わせの中から、人々が「おいしい」と感じる最適なペアリングを予測するAIの開発に取り組みました。キッコーマン様が持つ発酵・醸造学の深い知見と、弊社が持つ高度なAI技術を融合させています。

プロジェクト発足の背景と「おいしさ」のAI化

Q. AI活用の背景を教えてください。

今村様:弊社のグローバル事業には2つの戦略があります。一つは北米や欧州など、すでにある程度しょうゆが浸透している成熟エリア・成長エリアでNo.1の地位を盤石にすること。もう一つが、インド、南米、アフリカといった新興国市場に、これからしょうゆを浸透させていくことです。

この2つ目の戦略が非常に難しい。これまで北米などでは、「しょうゆと肉の相性の良さ」をアピールし、バーベキュー文化を通じて自然にプロモーションができていました。しかし、インドには牛肉や豚肉を食べる文化がほとんどありません。つまり、今までの成功モデルが通用しないのです。

知らないものをいきなり食卓で使ってもらうのは難しい。そこで、インドで日常的に食べられている食材としょうゆが合うことを科学的に示すことで、お客様の心理的なハードルを下げ、しょうゆを浸透させたい。これが、今回のプロジェクトを始めたきっかけです。

Q. Athena Technologiesに依頼した理由を教えてください。

今村様:今回のプロジェクトは3社によるコンペでした。その中でAthenaさんに決めた理由は大きく3つあります。

1つ目は、ご提案いただいた内容に新しい発見が多く、挑戦する価値があると感じたことです。「ここなら知らないことも学べそうだ」という期待感がありました。

2つ目は、コミュニケーションが非常にスムーズだった点です。他社さんとは何度も打ち合わせを重ねても、なかなか私たちの意図が伝わらないことがありました。しかし御社は、たった1回のヒアリングで「そう、そこなんです!」という的確なご提案をしてくださいました。

そして3つ目は、そのクオリティに対する価格です。これなら手が届く、という納得感がありました。

プロジェクトの取り組みとAthena Technologiesの評価

Q. Athena Technologiesのサポートはいかがでしたか?

山田様:今回はモデル構築だけでなく、データ収集段階のコンサルティングから深く関わっていただきました。私たちが「こういうことがやりたい」と希望を伝えると、松田さんはそれを実現可能な形で、たくさんのアイデアを出してくれました。データ共有も非常に迅速で、半年という期間でできる限りの最大限の結果が出せたと感謝しています。

今村様:本当にすごかったです。毎回、打ち合わせが終わるたびに、山田と「今日もすごかったですね」と話していました(笑)。こちらが断片的な知識で「こんなことできますか?」と相談しても、それを1〜2週間でプログラムに落とし込んで結果を返してくださるスピードには、本当に驚きました。

Q. 技術的に苦労した点や課題はありましたか?

松田(Athena):やはりデータの扱い、特にアンケートデータの質には難しさがありました。情報科学の分野に「Garbage In, Garbage Out(ゴミを入れたらゴミしか出てこない)」という言葉があります。これを機械学習に置き換えると、教師データの質が悪いと、どんなに高度なアルゴリズムを使っても良いモデルは作れない、ということです。

今回のプロジェクトでも、人によって評価の基準が異なるアンケートデータを扱う上で、この原則を改めて体感しました。取得したデータに対して丁寧な前処理を加えることで、一定の改善は見られましたが、モデル開発においてデータの質は最も重要だと再認識しました。

今後の展望

Q. 今後の展望について教えてください。

山田様:以前、松田さんが「言語化できるものは全てAIで実現できる」とおっしゃっていたのが印象的でした。これまでは、私たち自身がデータを十分に解釈し、言語化できていなかった部分があったと反省しています。

今村様:プロジェクト終了後、いただいた知見をもとに山田が改めて生データを解析したところ、データをセグメントして分析することで新しい発見がありました。今回教えていただいた手法を応用して、たとえ一部でも事業に役立つモデルが構築できればと考えています。